あるプロデューサーの2018年

今年もあと数時間で終わろうとしている。2018年は、色々と嫌な年だった。良いことが少なかった年だった。原因が色々とあるが、ここではアイドルマスターシンデレラガールズのことについて語りたい。

 

春先から既に兆候は出ていたように思う。その時期にあった総選挙の活動もポスター一枚を作ったぐらいで、特別なことは何もしていなかった。もちろん、獲得できる票は獲得して全部担当に入れた。しかしそれだけであり、総選挙の「熱量」から逃げていた。自分にはない、尊いものを見るのが嫌だった。さらに正直なことを言えば、勝ち筋のない担当の現状の絶望感から逃れられなくなっていた。わかっている。これは所詮遊びだ。ごっこ遊びだ。だから勝ち筋に関係なく、自分の好きなアイドルを宣伝して、好きなアイドルに投票すればいい。それが嫌なら他の遊びでも見つければいい。しかし、私はそれもせずに、このコンテンツにしがみついて、不平や不満だけは言う、情けない存在でもあった。

GWに担当のカードがモバの方で来たのは本当に嬉しかった。この娘は可愛い、応援したい、好きなキャラクターなんだと、本当に思ったのだ。不安材料だったデレステの新機能のデレぽでも、彼女の発言は少なかったが、私は彼女らしいと思う、納得できる発言ばかりなので嬉しかった。

ボイスなしのアイドルのSSRデレステで続く中、いつか彼女のSSRも来るだろうと、更新の度にソワソワしていた。デレステで新曲が出れば彼女のスクショを取り、考えついたことがあればTwitterで発言し、モバのユニットで登場すれば反応する。貴重なグッズが出れば買いに行く。そんな毎日だった。梅雨の時期にはデレステで、彼女の全ポテンシャルを解放した。彼女のSSRが実装され、最強の彼女を見ることが楽しみだった。

7月。ミリシタの一周年イベントを機に、その頃は仮の担当だった島原エレナのSSRを取ったまま放置していたアカウントで復帰した。その後、エレナの限定ガチャも来て、この頃から明らかに重心がミリシタの方に移動しつつあった。それから8月にかけて、ミリシタの勢いはどんどん増し、自分が離れていた間にミリシタに実装されていた楽曲のクオリティの高さ、コミュの丁寧さに驚いた。特に虹色lettersには深く感銘を受け、それを島原エレナが歌っていることに運命的なものを感じ、島原エレナが担当という軸に明確に昇華し、ミリで生きていく一歩を踏み出した。それと同時に、2018年のデレの楽曲やコミュなどが全く記憶に残ってないことを自覚していた。ボイスがない担当が参加する可能性がゼロでも、デレの楽曲やコミュとの距離が遠くになりつつあることを感じていた。

それでも8月の終わりまでは「決定的」ではなかったし、「明確」でもなかった。もちろん不満や愚痴がなかったわけではない。私はTwitterでも特に憚らずに言っていた。でも、担当から離れるつもりはなかった。最後の最後まで見てやりたいと思っていた。ただ先に感じ始めていたデレというコンテンツへの不安感から、来たるアニバーサリーには期待はしないでいた。

そして8月31日。終わりは来た。新しい共通衣装、そして「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」実装。アニバーサリー曲というのは、他のイベント楽曲とは違う。それからのコンテンツの向かう先と、彼女を取り巻く世界をどう示していくか、運営からのメッセージソングなのだ。そして今年のアニバーサリー曲はこれまでのそれとは全く違うものだった。新機軸を出すのはいい。「変わらなければやがて朽ちてく」と言ったのは、他でもない運営なのだ。

しかし、それは到底容認できる新機軸ではなかった。いや、新機軸でもなかった。今まで散々訴えてきたことを全て崩して、新しいものを提示するそれは、もはや暴力革命のようなものだった。

「自分の足で歩けシンデレラ」。嫌いだ。本当に嫌いなフレーズだ。

自分が何処か信じていたものが崩れ始めた。そのせいか、それからのデレステの楽曲は聞くに堪えない粗末な楽曲ばかりだった。クレイジークレイジーは何とか思い出せるが、ミステリアイズという「強い」2人を出してあんなメンヘラこじらせた曲しか出せないのかと思い、ハイファイデイズで元気よく未来への希望を歌ったメンバーに幼児退行を起こしたような曲を歌わせるのかと思い、アンデッド・ダンスロックは個性を調整に失敗したとっ散らかった楽曲だと思い・・・そして、一大イベントであるドームライブ「しか」意識していないStarry Go Roundは前奏の時点でふざけるのも大概にしろと思った。

チケットが当たったので現地に行ったSS3Aも正直面白くはなかった。ライブに行った回数はそう多くはないのだが、あんなに虚無感を感じたライブは初めてだった。

そして、私はデレの楽曲を切ることにした。携帯に入っていたデレ関係の曲を削除した。お願いシンデレラだけは最後まで迷ったが、やはり削除した。

そこからの崩壊は加速度的だったように思う。白菊ほたるのキャラクター性にだけは感心したが、残念ながら私は彼女の担当にはなれそうになかったし、サプボで新たなステージに羽ばたいていく彼女についていく気はなかった。彼女も迷惑だろう。

そうしてデレステにログインしなくなり、アプリを削除した。ただバンダイナムコIDとの連携は残してあったので、復帰しようと思えば復帰できる状態ではあった。

11月半ば。モバの方で、彼女の出番が来た。可愛かった。真っ直ぐで強い少女だった。頑張り屋さんの、おませな女の子だった。イベントのシステム上、たくさんセリフがあったので、とても嬉しかった。嬉しかったのだ。ただ、心の芯は冷えたままだった。自分でも信じられなかった。ただ、以前ならセリフ一つ一つを一か月ぐらい延々と語っていただろうに、一週間も経たぬうちに、彼女から何も感じ取れなくなった。

逆にミリシタの方への言及は増えていた。島原エレナ以外にも好きなキャラクターが増えていき、世界が拡大していくのを感じた。それはもう、デレでは感じられない熱量だった。

「ガルフロ」の実装からデレの粗ばかり目に入り、最初はそれに憤っていたのだが、この頃にはもうその気力さえなく、界隈が荒れるのを横目に見ながら、暗澹たる気持ちになる日々が続いた。

12月。ドームライブ。地元の名古屋で行われたので、会場を見に行ったものの、辛くなってすぐに帰った。その夜、新キャラクターの発表があった。

頭おかしいんじゃないかと軽蔑することはあっても、もう憤る気力もなかった。ただ、そういうことをする、これからもそうゆうことをするのなら、もう清算しようと思った。こんなコンテンツに金を落とす要因なんて消してしまおうと思った。

まず、モバゲーを退会した。入った理由もモバマスなら、辞めた理由もモバマスだった。そして1200枚ほどあった彼女に関する画像、スクショ、思い出。全部消した。USB何かに残そうかと思ったが、未練だし情けないのでやめた。1時間ぐらいかけて、泣きそうになりながら消した。

年内最後のパッションの更新を期限と決め、デレステの連携も解除しようと思った。大方の予想通り、イヴだった。そのことに不満はない。それまでのふざけたガチャ更新からすれば、まともな方の更新だった。ついぞ2018年に彼女のSSRは来ず、界隈を見てれば来年はさらに絶望的なのは嫌でもわかった。そしてデレステの連携を解除し、消した。

これでデレにおける私というプロデューサーは事実上消滅し、見捨てた彼女はまだあのコンテンツで生かさず殺さずで生きていくことになった。

これがあるプロデューサーの一年の顛末である。卑しいだろう、醜いだろう、情けないだろう、未練がましいだろう?

現在はデレに言及する時は、あざ笑う時だけである。全て自分可愛さの、尊厳も誇りもない、なれの果ての搾りかすの鳥が囀るのだ。

主軸をミリシタに移動させたが、こんな悪辣な人物なので、迷惑をかけないようにしている。今年の総括をブログにしたのも、Twitterよりは閲覧の敷居が高いためだ。

まあ、ミリの方は話はこのぐらいでいいだろう。

最後に。私の担当の名前を、もう名前を呼ぶことさえ辞めようとしている、担当の名前を記す。

彼女の名前は、メアリー・コクラン。

私が支えたかった、でも逃げ出した、キャラクターの名前だ。