冬の日、ソープにて

平成28年1月23日。日本に未曾有の寒波が襲来し、寒さが身体の芯まで染み渡る日。

僕(童貞)は、ソープの前に立っていた。

 

一週間前。友達(童貞)は言った。

 

「このまま童貞なのは嫌だ。女性に対する自信が欲しい。ソープへ行こう。」

 

女性に対する自信をつけるためにソープって、その考え方がそもそも歪んでいる気がするが、オッパイ揉みたいしフェラして欲しいし、何より排尿器官としてしか使用していない我が愚息に活躍の場を与えてたいと常々考えていた僕は諭吉2枚を捨てる決心をし、これを承諾した。

あっという間に一週間が過ぎ、来たる土曜日。人生初の体験に午後からどうも落ち着かず、AVを見て勃起の調子を見てみたり、綿棒でチンコの掃除なんてしつつ、夜を待った。

 仕事終わりの友達の連絡を受けて、ついに出陣の時。名古屋のソープ街目指して出発する。BGMはカブト以降の平成仮面ライダーOPにした。

「一体自分以外誰の強さ信じられる?」

「変わることを恐れないで明日の自分見失うだけ」

「Break the chain」

「本当の自分出逢うため 歩き続けるのさ今を」

「僕らを繋いだ風を止めたくない」

「Life goes on 本気出して戦うのなら負ける気はない」

・・・と、平成仮面ライダーの歌詞に勇気を貰っていたところ、オーズのOPが終わった時に目的地の駅に到着。少し待ってると友人が来た。

さっそく目的の店のある方へ向かった。
ちなみに、予約はしてない。ネットで嬢の情報を見てみたりしたものの、正直わからんかったので、飛び込みで行って居る嬢で決めてみようと思ったのだ。ほら、人生は一期一会ってフォレストガンプで学んだし?

目的の店の位置を確認すると、一応、目当ての店以外見てみるために近所を回ってみた。

暗い。

街が暗い。半分住宅地のような場所なのに、まるで深海にいるような静けさだ。その暗い海に泳ぐ魚を求めて彷徨う男たちがちらほらを見受けられた。

結局目当ての店に入ることに決め、扉の前に立ったものの、ここで友達が怖気つく。帰りたいとか言い出す。いや、そりゃ俺も少ない給料から諭吉2枚捨て去るんだし、デレステのメアリーのガチャ回したい気持ちもあるし、帰りたい気持ちはあるよ…でもここまで来たら行くしかない。行かなきゃこの先の人生たぶんこんな機会なんてない。

何とか説得して、店内へ。
「ご予約は?」
「してないです」
「1時間待ちです」

撤退。

そして友達の心が完全に折れた。しかし僕は諦めきれない、嬢との戦い以前に自分に負けるのだけは嫌だ。友達を帰らせ、僕は1人で店に舞い戻る。
「1時間待たせてくれ」
入泉料を払い、カードを渡される。アルバムではないのか…。4枚だ。僕の手札だ。スヌーピーも言っていた。人間は与えられた手札で勝負するしかない、と。

今までない勢いで嬢のデータを見てライフカードのごとく見比べる。ここで気づく。おかしい。嬢のデータ違う。年齢が違うし、写真も加工感上がってる。早速スマホで嬢のデータを確認する。やはり。少し前のデータなので年齢が低くなってるし、ネットの写真より加工してある…!カードの時点では結構悩んでいたが、ネットのデータで全ては決した…と思ってたら受付の人から「決まりました?」と声をかけられ超キョドる。決めた嬢のカードを渡す。

ななみちゃん(26)、君に決めた!

ちなみに店内BGMが栄光の架け橋なのが印象的だった。

その間に他の人が呼ばれていたのだが、当たり前だが名前を教えていないので指名した嬢の名前での呼び出しであった。緊張していた自分は指名した嬢の名前をど忘れしていたため、少し焦る。ありがとう、ネットの履歴。

無駄にサービスのお茶を飲んだり、置いてあった今週のジャンプを読む。
いやあ、ソープの待合室で読むジャンプは別格ですね。

そんなこんなでいよいよ待ちに待った時が。
ななみちゃんをご指名のお客様~」
「ひゃ、ひゃい!」

何かウェスタンな酒場にあるドアみたいなところへ案内されると、そこにはななみちゃんが。

あれ、ババアじゃね?少なくとも20後半ではない。

いや、写真通りなんて期待してなかったけど…。

そんなななみちゃんに連れられて部屋へ。テンパり過ぎて靴脱がないで部屋に上がるという欧米人の真似して注意されたりしつつ。

「おっす、オラ童貞!わかんねえからよろしくな!」

とだけ最初のトークタイムに伝える。いや、本当はもっとしどろもどろだったけど。

トークタイムが終わると入浴へ。女性の前で全裸になるなんてママン以来だな…とか考えつつ、服を脱ぎ風呂場へ行くと身体を洗ってくれる。普通にチンコまで洗ってくれて「ひっ」と声が出る。

風呂桶に入って歯を磨いてると、マット使うか聞かれる。初回だし、童貞でも普通のセックスがしたい!ということでマット抜きをお願いする。

風呂場から上がるといよいよベッドへ。ついに童貞とオサラバする瞬間だ。

しごきながら最初は乳首攻め・・・

気持ちいいけどこんなもんか・・・とか思っていたら

!?

まるで蓄積値があったかのように、とんでもない快感が全身を疾走する。やばい。気持ち良すぎる。乳首という着弾点から快感が電撃のように全身に流れる。おまけに乳首というグラウンドゼロはショート寸前。いますぐイキたいよ。

そんな泣きたくなるようなムーンライトな快感に酔いしれてると、フェラに移行。これも気持ちいい・・・アッタカイナリィ・・・本当に「グポッグポッ」って音するんですね。これからその擬音を採用しているエロ漫画家は信用します。

そしていよいよ挿入。騎乗位。愚息が何かを押しのけて進んでいく未知の感覚を得ながら、挿入完了。それからピストン開始。

・・・いやあ、気持ちいいけど、期待値よりは低かったな・・・。

なかなか射精しない僕にななみちゃん

「自分で動いてみる?」

と提案。後背位に姿勢を変更。やっと果てる。でも個人的には騎乗位の方が好き。

後背位の挿入時にアナルに入れそうになるというエロ漫画でしか聞いたことないミスをしたのは内緒である。

時間はまだあったので、再びしごきながらの乳首攻め。どうやら一番エクスタシーを感じていたのを見抜いていたらしい。そこからは延々と乳首攻め。

頭がおかしくなりそうになった。性的快感で理性が飛びそうになるとかフィクションかよとどこかでバカにしてた自分を罰するかのように、僕は乳首攻めで痙攣寸前まで追い込まれた。

たぶん、60分乳首攻めとかされたら「んほおおおおおおおお!!」とか言って女騎士化してたかもしれない。

乳首攻めの快感に悶えていると時間が迫ってきた。再び身体を洗って服に着替える。

終わりのトークでななみちゃんに感謝を述べ、僕の60分初風俗は終わった。

店から出ると冷たい風が頬を撫でる。行く時は冷たいだけだった風が今は気持ちいい。

世の中には「セックス」という行為があるということを、改めて噛み締めながら、

乳首と股間に疼きを抱え、家へと帰るのであった。